研究期間の最終年度にあたり、これまでに製作したDVDおよびCDの評価とこれらを用いた授業実践に取り組み、検証を中心に行った。製作きれたDVD「伝統の刃物づくりを体験する」とCD[銅鏡づくり-古代の先端技術に挑戦」を千葉県内の県教育事務所および市教育委員会の図画工作科、美術科、技術・家庭科担当指導主事宛に送り、その内容について調査表表を配布し評価を調査した。回収された結果から、DVDおよびCDとも小・中学生に対する授業に利用ずることは困難という評価であった。その多くが学校の施設設備の不十分さを挙ばていた。内容面では知識として非常に参考になるとする回答とともに、教員の研修資料として利用したいという回答が多かった。刃物づくり、銅鏡づくりとも学校の施設・設備の不十分さに対して、安全で簡易な施設、道具の開発が次の課題として明らかになった。実践による検証では、本年度は銅鏡づくりを中心に展開し、附属小学校、教員養成課程の授業で取り組み、実施の課題を検討した。附属小学校では5/6年生を対象に鋳型づくりと研磨(鏡面加工)を中心に実践し、その後刃物づくりのDVDを観た児童の感想を分析した。銅鏡作りでは鋳型づくりに繊細な注意がいることを理解し、研磨において時間をかけた作業が必要であることを体験きせた。その結果、多くの感想が「もの」をつくるには見えないところで大変な道具と労力がかかっているという自覚した感想が多くあった。教員養成課程の授業では銅鏡作りを通して、ものづくりは単に知識だけではなく知恵が得られることを理解して、教材研究の重要性自覚するに至った学生の感想があった。この成果は、学会誌に掲載された。また、研究分担者鈴本隆司はかつて主要産業であった養蚕の糸繰りを題材として「ランプシェード」つくりとして開発し、教員養成課程の授業と都内私立小学校で実践し、評価を得た。
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