研究概要 |
本研究の目的は,児童、生徒に理科を学ぶ意義を自覚させることによって,児童、生徒の学習意欲を高め,理科嫌い。理科離れの問題の解決をめざそうとするものである。平成19年度は,次の二つの課題に答えることを目的として,研究を行った。第一に,児童、生徒は,日常生活において理科がどのように役立っていると児童、生徒が考えているか,第二に,キャリア選択のための情報が児童、生徒にどのように与えられているかである。この目的を達成するために,まず先行研究の分析を行った。その結果,役立つということに関して,さまざまな視点が存在することが明らかになった。その結果,役立つことを実利的、功利的側面のみから判断してよいかどうかが問題となった。そこで,知的好奇心の喚起など,文化的、精神的な側面の涵養は役立つと言えないのかについて検討した。また,学習意欲に関する先行研究の分析から,学習の功利性だけではなく,学習内容の重要性についても検討すべきであることが示唆された。 こうした先行研究の分析に基づき,児童、生徒が日常生活における理科の有用性をどのように捉えているかを調べるための調査問題を試作し,その妥当性を吟味した。こうして開発された調査問題を用いて,千葉県内の小、中、高校生を対象に調査を実施した。調査の実施が年度当初の計画よりも遅れたため,まだ十分な分析ができていないが,有用性を実利的。功利的側面と文化的、精神的側面から捉えることによっておもしろい結果が得られるものと期待している。
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