アメリカの音楽の授業は、小学校の場合、ハンドサインによる音程練習はほぼ全国的に行われており、また移動ドによる指導が主流といえる。1時間の授業には多くの教材を用いて、流れのある授業展開を行っている。アメリカの教師は、児童・生徒の音楽スキルを向上させ、音楽的な成長を目指すことを第一に考えており、教師の個性や能力に応じたカリキュラム・授業内容を独自で開発している。学校全体の教育目標に従属するという形でなく、音楽から教育にアプローチするというスタンスがどの学校にも見られた。教師は、常に自分のフィールドの中に児童・生徒を引き込み、教える内容に関する「インサイダー上として授業を組み立てている。我が国において、力量のある教師はほぼアメリカと共通したコミュニケーション能力、音楽能力、指導力を持っているが、学校全体の教育目標への従属を余儀なくされるために、教師の優れた能力や個性発揮できる機会がアメリカほど保証されていないように思われる。
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