研究概要 |
本年度の研究において最も意味があったことは,スウェーデンにおける「ものづくり」「環境づくり」教育の調査を実施したことである。明治・大正期に日本の教育に導入されたスウェーデンのスロイドシステムは,世界のものづくり教育の原点としてとらえられ,それが現在どのような形で行われているのか,そこから日本が学ぶものは何か,そのような目的で実際に調査を行うことができた。また,イギリスが国策としてデザイン教育を重視し,それをデザイン&テクノロジー(D&T)教科で推進している状況と,工作・ものづくりを重視し手仕事を大切に考えているスウェーデンの違いは,今後の日本の美術・技術教育の方向とも関連して興味深い点である。 さらに,本年度は様々な教育機関において実践の場を設け,ワークショップや体験活動を行うことができた。それらの実践内容を整理しながら,カリキュラムの形としてまとめていきたい。 本年度,自身の制作活動として,空間づくり,環境づくりを視野においた造形作品がコンクールにおいて優秀賞を受け,その後,実制作を行い,日本国花苑(秋田県井川町)に設置された。これは,実際にどのような観点で環境づくりを行うのかという実践例として研究内容の充実に寄与するものと思われる。
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