研究概要 |
平成19-21年度までの取り組みを経て,日米の小・中学校における総合表現型カリキュラムの各研究先進校の実践を,音楽,美術(図工)演劇,舞踊の4領域にカテゴライズし,バランスの取れた優れた授業モデルの開発をめざした。その結果,『我が国と米国の総合表現型カリキュラムの実践事例から4つの表現領域と各教科・領域へのおよその位置付け-(時得2009)』と題し,日米の授業実践から抽出された約20の実践と芸術4領域とのかかわりを4輪の集合図に分類した。 授業モデルは,我が国の研究先進校から「学際型カリキュラム」が既に定着している10校,米国からはNew York州,Connecticut州,Massachusetts州,Iowa州の10校を抽出した。 複合的な学習のもたらす成果について,両国での授業観察と子供たちへのパフォーマンス評価や意識調査を経て,本研究では多くの考察を得た。その極一例を述べる。特に米国で多く展開されている「音楽と舞踊と演劇」など,複合的な芸術領域にまたがる授業では,子供たちの共同の創作表現がより活性化し,豊かな言語活動が拡がる。米国学校音楽に広く導入される「リトミック」,「オルフ」などの創作を重視した表現活動を取り入れた音楽学習は,子供の創造的な知性を育む上で有効である。 研究代表者らは本研究成果の報告として2008年国際音楽教育学会(イタリア大会),2009年国際音楽教育学会アジア・太平洋地区大会(上海大会で)から招待発表の機会を受け,本研究の成果発表は高い評価を得た。その学術的背景には,国際的レヴェルの潮流からも,音楽科が広く他教科・領域とかかわる総合的・横断的な実践,"Integrated Study"の開発に教科再生の活路を見出そうとする各国のカリキュラム改善に向けた活発化があり,本研究は国際的な要請にも応えうる,貢献度の高い研究成果を発信できたものと捉える。
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