研究概要 |
平成20年度における本研究のうち、特に学術的・社会的貢献として意義ある成果は、以下の通りである。 (1)教科書悉皆調査による日本文化に関する語彙及び教材編成のデータベース作成と配布:小学校・中学校「国語」教科書及び高等学校「国語総合」教科書における日本の基層文化概念に関する語彙・記述・論述内容を網羅し、データベース化して学会関係者に無償配布をした。これによって、新教育課程における[伝統的な言語文化]の取り扱いへの具体的な資料が整った。 (2)学習指導要領への寄与:「高等学校(国語)」の改善に関する研究協力者として、研究代表者は「現代文A」及び「古典A」の記述内容と解説の作成・検討を担当し、本科研で得られた知見を「言語文化」の定義とその指導に反映させた。なお、「言語文化」の定義については、小学校、中学校の学習指導料にも反映されている。 (3)国際学会での研究発表:平成20年5月6日にInternational Reading Association 53'rd annual Convention (Atlanta, U. S.)において165分のシンポジウムを開催し、シンポジストとして「Literacy as Folk Culture」と題する発表を行った。発表内容は、日本の基層文化概念を「民俗文化」として解題し、新指導要領で打ち出された「言語文化」の学習をMultiple Literacyといかに融合させるかという問題についての考察である。発表は研究代表者の藤森が行い、日本人発表者としては異例の50名超の参加者を得た。なお、本発表についてI.R.A.理事から高く評価され、会期中の理事レセプションに特別招待されている。 (4)全国学会での研究発表:全国大学国語教育学会、美夫君志(万葉集の研究団体)、日本国語教育学会等において研究発表・シンポジウムを行い、本科研の研究成果を報告した。 (5)研究論文の執筆:全国レベルの学会雑誌等に、複数の査読付論文を含む学術論文を発表した。査読論文はすべて採択されている。
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