研究概要 |
本研究は,小学校高学年の図画工作科および中学校の美術科などの普通教育の課程における正課の授業において,3Dアニメーションの制作を教材として広く実施可能とするための基礎研究である。その方法として,PBLチュートリアルに着目し,それを実現するために,指導を受けた経験のある上級生などをチュータとすることを想定し,いわゆる学習者どうしのピア・サポート的なチューティングの導入を目指すことがその具体的な目的である。その目的に沿って,本年度は,以下を実施した。 ・実写映像の視点移動と3DCG映像の視点移動とを相対的に同一の軌跡上に同期させて得られる錯視的効果に着目し,「知覚の流動モデル」にて,その説得力の理由を説明し,3DCG表現指導が,視覚認知一般性の深部にも及ぶリテラシー獲得につながることを示した。 ・上の知見をもとに,空間認知を助けるチュートリアル教材を用いた指導法を企画・実施した。 ・昨年度に引き続き,当該の教育活動に必要な環境システム(ハードウエア・ソフトウエア・指導法)を改良し構築した。 ・昨年度に引き続き,上のシステムを用いて,学習者の同僚を(学習経験者)をチュータとした実験授業を行い,ピア・サポート的なチューティングに必要なデータを収集した。特に学習者の同士のサポート関係の履歴を記録・分析し,実際のチューティングをコーディネートするための指標を得た。 これらの内容は,途中経過として,美術教育学(美術科教育学会誌)第30号に論文として投稿し掲載された。また,佐賀大学で開催された第31回美術科教育学会全国大会にて,平成21年3月29に口頭にて発表した。
|