本研究は、わが国の抱える根本問題である「家庭科の本質」とそれを達成するための「カリキュラム編成論」を明らかにするために、1980年代以降、若者の学力低下とそれを克服するために行われた米国教育改革の結果、誕生した家庭科のNational Standardsと、それに基づいて開発された各州の多様なCurriculum Standardsの収集と分析を通して、教科としての家庭科を構築するための教科論とそれを具体化するカリキュラム編成論を探求することを目的とするものである。 本年度は、研究の最終年度にあたる。年度の前半では、前年度に引き続き、アメリカの各州で開発されているCurriculum Standardsの調査を行った。その結果、アメリカの51州のうち、24州で家庭科に関するStandardsの作成が確認できたため、その収集を行った。それと共に、京都で開催された日本家庭科教育学会大会に参加し、必用な資料を収集した。 年度後半には、収集した各州のCurriculum Standardsを検討した。その結果、当初目的としていた各州のCurriculum Standardsを類型化するよりも、そこに共通してみられる教科論とカリキュラム編成論を明らかにする方が、本研究の目的を達成するために意味があることがわかった。そのため、当初の目的を変更し、各州のCurriculum Standardsにみられる共通の教科論・カリキュラム編成論に焦点を当て.その分析を進めていった。その過程で、いくつかの州で、家庭科用のテストが開発されていることがわかり、その収集を行った。分析した教科論・カリキュラム編成論の考察にあたり、東京で開催された日本家庭科教育学会例会に参加し、必用な資料を収集すると共に、研究のまとめとして、現在のアメリカの家庭科が求めた教科論の意義・問題点を考察していった。
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