研究概要 |
本研究の目的は,児童・生徒の学習内容についての意味の理解を促進し,算数・数学を学習や生活等で活用する能力を向上させる学習指導方法を開発することである。平成20年度は,研究実施計画に基づき,学習内容についての意味の理解に焦点を当てた学習指導方法の開発に関する研究を重点的に行った。研究内容は,次の通りである。 (1)学習内容の意味の理解に焦点を当てた学習指導方法の開発 算数・数学の授業の中で児童生徒が心的に表象しやすい幾何学的イメージを使い,学習内容を「言語的・文脈的」に表現させたり,「体験的・感覚的」に捉えさせたりすることを授業の中でシステム的に行えるようにし,「学習内容の意味を十分に理解させる」ことに焦点を当てた授業実践モデルの構築を行った。 (2)開発した授業実践モデルを小・中学校の授業に適用するための教材開発 小学校算数で学ぶ図形の求積を題材として,児童が求積公式の意味を理解させるとともに,正方形,長方形,三角形,平行四辺形,台形,菱形の求積公式を統合して捉えるようにできるようにするための3つの教材を開発した。 (3)開発した授業実践モデル・教材を用いた公立小・中学校における授業実践 協力小・中学校において開発した授業実践モデル・教材を用いた授業を実践した。 (4)開発した授業実践モデル・教材の学習内容の意味の理解に対する有効性の調査・分析 協力小・中学校において開発した授業実践モデル・教材に関して学力調査・アンケート調査等を行い,学習内容についての意味の理解に対する有効性を検証した。 その結果,開発した授業実践モデル・教材は,児童が図形の求積公式を統合して捉える力を高め,算数・数学に対する興味・関心を高める効果があることが分かった。
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