北米の学校教育において俳句は、詩教育・表現教育の一環として国語教育の中に位置づいている。その一方我が国においては、新しい小学校学習指導要領の「書くこと」(5・6学年)の項に俳句創作が明記された。本年度は、このような俳句をめぐる海外と我が国の状況を踏まえながら、北米での俳句指導のあり方を、カナダのトロントで実際に授業を行うことによって探った。 授業は俳句の楽しさを味わわせることを目的とし、創作・鑑賞支援として、「取り合わせ」と「句会形式」を取り入れた。前者については、創作プリントを作成し「取り合わせ」の手法を把握させていった。後者については、心の働かせ方を具体的に支援すること、学習者の考えを浮き彫りにすること、学習者の内面に葛藤を生み出すことに留意し、俳句の楽しみ方を支援した。授業の検討は、学習者が作成した俳句、鑑賞における発言、授業後の学習者と教員の感想をもとに行った。その結果、授業で行った働きかけが有効であることが分かった。 以上の、北米における俳句指導のあり方の検討は、今後、俳句を用いた国際交流を構想していく際の役に立つであろう。本年度の研究成果はそういった点で意義がある。
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