研究概要 |
今年度は,附属小学校・中学校の連携研究、唐津市の第一中学校・長松小学校・天志小学校の小中連携に共同研究者として関わりながら,研究を進めることができた。附属小中の連携研究では、6月に小学校6年生から中学校3年生の4学年で『魔方陣』をテーマとした筆者が自ら授業を実施し、中1から中2にかけての中学生の学びの姿勢やモチベーションの変化について知ることができた。一つ答えが出さえすれば「なぜそうなるのか」その理由を考えようとしない中2生の実態は、酒井等の指摘した「中1ギャップ」「学校不適応」の背景にある課題を浮かび上がらせる結果になった。また、竹内が指摘した「自分くずし・自分つくり」と格闘する中学生の成長課題が見えてきた。同一の課題を教員養成課程に学ぶ大学3年生にもぶつけ、中1から中2にかけての数学の学習の在り方が、その後の彼等の数学観や数学学習観を決定づけるのではないかという仮説を立てることができた。この成果を7月の日本カリキュラム学会で発表した。また、長松小6年生と鹿島西部中1年生で実施した「奇数定理(偶数定理)」の授業からは、小学生の伸びやかで積極的に考えようとする学びの姿勢が,中学生になると受け身的な消極的な学びのスタイルに変化する事をつかんだ。この実践研究は現在投稿中である。 ここから、中学校で展開される数学の授業の問題点が見えてくる。一つは、考えることよりも,正解を出す(点数を上げる)事への強いこだわりがあること。こうした姿勢は、中学生の生活、中学校の授業を通して醸成されること。知識・技能の習得型学力から活用・探求型の学力への転換、考えることのたのしさ・手応えを感じさせる授業の創出が求められる。 本研究の成果の一部を、算数科教育法のテキストにまとめた。
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