当該年度は、主に中学校生徒の教材に適する風力発電システムの開発と設計・製作を行った。また、教師用の風力発電システムと太陽光発電システムについて種々検討し、これらの最適運用等の面からその運用方法を研究した。まず、生徒用の教材としての風力発電システムについては、沖縄県の年平均風速が約5m/sである事等をふまえて設計・製作を開始した。この結果、数W程度の出力の直流発電システムを作る事が、中学校生徒一人の教材として適切であることが判明した。発電量を余り大きくすると、羽根の半径や支持工作物等が大型化し、種々なバランス等が崩れ、教材としては危険を伴うためである。発電機は多極のものを使用して電圧を上げ、発電効率の向上を図りたいが、小さなものは市販されていないだけでなく、設計・製作理論も中学生の教育レベルをはるかに超える。ここでは、市販の安価な直流永久磁石モータを用い、一個当たりの発電電圧の小ささを、生徒各人の発電機を数個〜十数個直列にして補い、これを12Vバッテリにつなぎ10日程度充電してから、インバータで100V交流に変換し家電製品を稼働させ、エネルギ変換を体感させる教材を開発した。なお、風車はプロペラ型とサポニウス型を試作した。前者は、複雑な形状のため、発泡スチロール型を作り、これにFRPを布と一緒に塗って製作した。後者は、市販の出来るだけ大きな容器を半分に切り利用し製作した。教材としては、共に一長一短がある。前者は製作が困難だが効率がよい。後者は製作が容易だが効率が悪い。ものづくり教育を主とするか、エネルギ教育を主とするかで選択が異なる。さらに、生徒の興味を惹くためモニュメント的な教材としての視点も必要となるのかも知れない。 なお、教師用の発電機については、簡単な設計・製作方法を模索したが、大型になるため風力発電機の羽根の部分の製作が大学の技術のみでは非常に難しい。そこで、市販の風力・太陽光発電システムを購入し、実際の風力・太陽光発電システムの最適予測運用方法等について研究を進めた。この研究成果の一部が、下記の学術的研究成果として、公表されている。
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