研究分担者 |
添田 啓子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (70258903)
工藤 里香 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80364032)
丸岡 弘 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80325985)
國澤 尚子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20310625)
佐藤 雄二 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (10196280)
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研究概要 |
目的:初年次教育におけるPBLテュートリアルの議論の質とスタディ・スキルズ習得の過程,今回は議論過程のテュータとの関係も明らかにした。スタディ・キルズは,学生の聴く,読む,考えるといった思考のスキルと,調べる,伝える,書くといった表現スキル,および思考と行為を振り返る自己評価スキルを合わせたものと定義した。 実施:研究者らは,Berkowitzのトランザクション分析(以後TDとする)を参考に,議論中の学生の発話,テュータの発話に注目し3クール9~10回の議論をTD分析した。その議論過程のTD分析を6グープ間で比較した。合わせて学生の議論の成果として提出されたレポートも比較した。 結果:議論を深めるTDを学生自ら発したグループでは,事前にテュータの議論を深めるTDが多く発せられていた。学生が議論を深めるTDを発して議論したグループの学生のレポートは,議論内容について説明が構築されていた。一方,議論を深めるTDが学生から発せられずに終了した場合,レポートは項目の箇条書きであった。議論が深められたグループのテュータの介入は,議論場面で学生に聴く・読む・考える・調べる,伝える,自己評価といったことについて,考えさせ,指示を与え,発言や行動を支持・支援する内容であった。上記の介入を受けると、学生は自ら資料を吟味し、根拠を示して議論できるようになり議論内容を共同で吟味するといった議論の質を深める議論へ発展していた 初年次のPBLテュートリアルにおいて,議論の質がスタディ・スキルズ習得と個人の学習の質を規定することが分かった。また,学生の議論の質については,PBLテュートリアルの初期段階でのテュータの介入の質が重要であることがわかった。これまで経験的にテュータの介入の重要性が言われてきた。本研究では,議論の発話の質とテュータの介入の質との関係から,テュータの介入の重要性を実証的に明らかにした。
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