研究概要 |
本研究は学習過程における「知識の構造化」の診断を通して,情報教育のカリキュラム評価と体系化の在り方について検討することを目的とした。加えて,我が国のみならず韓国・中国の教育実践も調査し,これらを比較し検討することにより我が国情報教育のカリキュラム改善の手立てを探る。 平成12年度から18年度にかけてはブルーム(Bloom, B.S)等による「認知・精神運動・情意」領域を精査した教育評価理論を念頭に据え検討しているが,今回2001年以降のペレグリーノ(Pellegrino, J.W.)の評価理論の新たな視点を踏まえカリキュラム編成を検討した。これら一連の評価理論を考慮し検討することは,情報教育のカリキュラム改善ばかりでなく,「ものづくり」という観点で共通する工業・技術教育にも重要なヒントを持つと考えた。19年度の結果は,『情報教育の内容が科学的要素よりスキル要素や情報社会参画の学習内容に傾斜する傾向があり,カリキュラム内容が情意領域の価値・適応,認知領域の応用,精神運動領域の創造への学習段階まで達成し構成されていない』,すなわち,学年段階に応じたカリキュラムの吟味が必要であることがわかった。 海外調査について,平成20年度は韓国での調査は終了し,我が国の情報教育の特に『科学的理解』について韓国の方が有意に高いことがわかった。ただし,中国・韓国・日本の比較検討は本年10月までの中国での実地調査を待って完成の予定である。 現段階の結果は,『学習者の診断・教授方法の改善・学習プログラム自体の評価』の3目標と『認知(Cognition)・観察(Observation)・解釈(Interpretation)』の3つの理論的枠組みで体系的な情報教育の在り方を今後検討すべきことが示唆された。
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