研究概要 |
本年度は計画に従い,以下のことをおこなった. 研究協力幼稚園において4月より1年間,昨年度に引き続き,夏期ワークショップを含むアート教育のカリキュラムを開発・策定し,年長児3クラス,約90人を主たる対象として実行した. カリキュラムの具体的な計画については,年間テーマを「森と海」とした.昨年度の実施に対する考察を踏まえ,今年度は保育者の側からの大がかりな「謎」の設定をおこなわなかったが,各クラスでそれぞれのナラティブが,保育者と子どもたちの協働により生成されていくことが確認された. 夏季ワークショップの招待アーティストは舞踊家の上村なおか氏(桜美林大学非常勤講師)であり,夏季ワークショップだけではなく1,2学期にも3回,子どもたちのためのダンスワークショップをおこなった. 研究者は5日間の夏季ワークショップを含め14回幼稚園での観察,データ取得をおこなった.また2009年2月には,上村なおか氏へのインタビューをおこなった. 理論面では昨年度に引き続き,主としてカリキュラムの生産的な実施に必要な保育者の側の学習の構造について解明した.とりわけ,招聘したプロのアーティストと保育者の間の緊張を伴う対話関係が焦点化された. 本研究の成果を,『子ども総合研究』に,また2008年9月にサンディエゴでおこなわれたInternational Society of Gulture and Activity Research (ISCAR)の第2回大会,2009年3月の日本発達心理学会第20回大会での自主シンポジウム『アーティストと保育者の協働を探る』で発表した.また保育者・教育者の学習についての理論的な考察について,バンクーバーでの第3回想像と教育に関する研究シンポジウム,上記ISCARの第2回大会,2008年12月の関西大学人間活動研究センターシンポジウムで発表した.
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