科学技術立国をめざすわが国では、科学技術の発展を支える理数教育充実への期待とともに、科学技術と社会との新しい関係を構築しうる市民の育成が求められている。本研究では、科学技術時代における倫理を育成するカリキュラムを「市民性教育」の課題として位置づけ、理科や数学・情報教育と道徳・特別活動や総合的な時間などの教科外学習との連携に焦点をあて、教材や指導方法を検討することによって、科学技術時代における市民性を育成する学校カリキュラムの開発の方策を確立することをめざした。初年度にあたる平成19年度は下記の課題を遂行した。 1.学校カリキュラムのフレームワークに関する理論的研究 スーパーサイエンススクールや理数大好きモデル地域事業における科学技術倫理に関する教育内容の実践状況について調査し、科学への関わりや情報化社会への対応などに関する学習の現状と今後のカリキュラム開発の課題を明らかにした。 2.諸外国の市民性教育における科学技術教育の実践動向 イギリスにおける市民性教育の資料を収集し、科学技術教育と市民性教育を結ぶカリキュラム開発について、市民性教育で取り上げられている主要なテーマや学習方法を分析した。また、これらの成果を我が国におけるカリキュラム開発に生かす方法を検討した。 3.カリキュラム開発の事例研究 道徳教育における環境教育や情報モラル教育などについて、先進的な授業事例を収集し、道徳教育において科学技術倫理教育を実践するための教材開発の在り方を検討した。 現在、以上の研究成果に基づき、市民性教育のモデルカリキュラム(案)を検討している。
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