本研究目標を達成する為に、国内大学の訪問、研究会への参加、海外大学への訪問を、主として行なった。修学支援担当者の役割は、大きく四つに分けられる。狭義の障害学生支援、支援学生の支援、教員の支援、受験生の支援である。狭義の障害学生支援には、視覚、聴覚、肢体不自由などの直接的な支援で、点訳、ノートテイク、スロープの整備などが含まれる。一般に多くの人がイメージする支援内容である。支援学生の支援とは、支援を行なっている支援学生への対応である。支援学生は、単に各種サポートを言われるがままに行なっているわけではない。障害学生との人間関係、自らの技術、大学の対応などに様々な悩み・疑問を持っており、それらをある時は受容し、ある時はアドバイスする役割が必要となっている。現在の我が国の支援の大きな部分を担っている支援学生のサポートは、重要な課題である。三番目は教員への支援である。教員は、授業における最大の支援担当者とも言えるが、残念ながらその意識に乏しい教員も数多くいる。教員への支援としては、配慮方法の周知、授業方法の提示などとともに、FD研修などによって、障害についての理解や支援についての考え方などを知ってもらう必要がある。難しい課題であるが、これなくして、高等教育におけるバリアフリーは達成できない。四番目は受験生の支援である。近年オープンキャンパスにおける支援室の公開やホームページ上に支援内容を掲載している大学も見られるようになったが、多くの大学では支援内容を公開していない。受験生、高校教員、保護者からの公開の声は強く、各大学が積極的に進めていくよう、働きかけが必要である。次年度は、大学の組織・体制について調査し、検討を加える。
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