研究概要 |
大学の資源を活用した養護学校高等部の現場実習のあり方に関する検討として,本年度は,主として以下の4点について実施した。 1) 養護学校高等部2年生が県内のレストランで現揚実習を行うにあたり,大学院生が現場実習前から支援者として介入することの有効性について実践的に検討した。大学教員や養護学校教員との連絡調整のもと,校内実習等で対象生徒の作業能力を確認し,現場実習に先行して支援者が実習現場において業務を体験し,先方に適性にあった作業種と適切な関わり方について担当者に提案したことで,現場実習期間にはほとんど介入することなくスムーズな実習ができた。 2)昨年度に大学内の食堂で現場実習を支援した生徒が4月から職員として採用されたことを受け,そのフォローアップを行った。障害のある職員に関する障害特性や具体的な対応方法等の情報を事業所に提供することにより,同僚職員との認識のずれを軽減させることや,同僚職員によるナチュラルサポートを活用する可能性ぶ示唆された。 3)障害児教育専攻の学部生が,大学内に店舗を構える社会福祉法人経営のレストランで参与観察を行った。障害当事者が複数名働いている同店舗では,障害者間での相互支援の状況が見られた。障害のある職員による,養護学校高等部の実習生への支援の可能性が示唆された。4)知的障害と内部障害を有する者を雇いあげ,大学内の事務作業の補助業務を依頼し,大学の事務職としての障害者雇用の可能性について検討した。シュレッダー作業など,比較的作業がシンプルでありながら大量に発生する業務が十分に存在することが確認された。その他の活動として,上記の事例検討や他県での取り組みなどの情報交換を中心とした関係者間によるミーティングを月一回開催した。また,特例子会社で障害者雇用、就労支援に携わってきた有識者を大学に招き講演会を開催した。
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