1) 平成20年度には全国の聴覚障害児を対象とする特別支援学級並びに通級指導教室に対してアンケートによる実態調査を行った。836カ所の学級・教室に配布し341カ所(40.8%)からの回答が得られた。聾学校の調査との比較を行う予定である。 2) 聾学校を対象とした全国調査を元に発達障害のある聴覚障害児の困難状況の類型化を図った。その結果、目立った困難の無い「標準群」をふくめ6つのクラスターに分けられた。標準群以外では「言語と計算・不注意」の困難を併せ持つ群が商学部で17%と最も多かった。今後、標準群をベースに聴覚障害児版のスクリーニング調査を提案する予定である。 3) LD等のある聴覚障害学生への先駆的取り組みを行っているGallaudet大学等への聞き取り調査を行った。支援内容のシラバスへの反映など参考になる点が多々あった。 4) 発達障害を伴う聴覚障害児13名に対して20回の縦断的指導を実施した。困難の類型化に伴い典型例を抽出し指導法や教材開発の工夫を行った。たとえば、ディスレクシアのある聴覚障害児にフラッシュカードを利用した教材をPCで作成して継続指導を行ったところ有意な改善が見られた。21年度もこの活動を継続し指導法の整理を行う予定である。
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