本研究は、時間管理に困難を抱える発達障害児及びその保護者・担任教師等を支援するために、パソコン及び携帯電話で操作可能なカレンダ・スケジューラ・タイマーを開発し、その効果について検討するものである。今年度は、そのシステム開発をまず行った。開発中であったパソコン版が完成し、新たに携帯電話版の開発を行うことができた。そして、携帯電話版のアスペルガー症候群との発達障害児に対し試行的に適用を行った。開発したシステムは国内外の学会で発表を行い、高い評価を受けることができた。数多くの大会参加者からシステムの利用の申し出を受けることができた。 一方、発達障害児に対する試行的適用については、対象児の時間管理の困難を短期間に改善できるとともに親子関係の改善も図ることができた。対象児は、本システム適用直後から、時間を意識した行動をとれるようになり、保護者から叱責を受ける回数も減少した。これは、本システムが発達障害児の特性を入念に考慮したユーザーインターフェイスになっているためであることを示唆している。学会発表においてもそのユーザーインターフェイスが教育関係者、保護者、そして、当事者から高い評価を受けることができた。 本システムの有用性が認められ、2008年度よりKDDI社から携帯電話版のアプリケーションが一般公開されている。
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