研究概要 |
本研究の目的は、読み書き障害児の学習困難の生起要因について生理学的指標による中枢機能評価によるアプローチによって解明することと、科学的根拠に基づき読み書き指導における個に適した教材や指導法を開発させることである。研究は、視知覚機能評価法の開発と児童における視知覚機能発達様相の把握および読み書き障害児の学習指導における評価法の導入と教材開発から構成された。調査:視知覚機能評価に関する技法について、心理学、医学、生理心理学領域にわたり研究方法とそれに基づく知見について論文、書籍及び学会において資料収集を行った。特に学習障害児の視知覚機能の特性について、障害原因諸説を整理した。視覚機能評価法の開発:視知覚処理の初期過程の潜在的特性を明らかにできるパターンリバーサルSSVEPを計測可能にするために視覚刺激呈示装置を購入し、空間周波数(15分,60分)、輝度差および呈示頻度(1Hz,4Hz)を変数とし、健常大学生において脳波計測を行った。SSVEPは刺激周波数や輝度差によく対応することが確認された。また、視知覚機能の発達の標準化のために児童を対象とした実験を開始したが、単純な視知覚刺激に対して特に低年齢の児童においては注意の維持が難しく記録が不安定であった。このため研究期間後半においては課題遂行にかかる児童の負担軽減のために、脳波電極を能動電極化した場合の信頼性と、アニメビデオオーバーラップ刺激の導入を開始し継続的に検証することとした。学習指導:学習障害児への読み書きについての指導は4例を実施した。
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