研究概要 |
平成21年度の研究の目的は、作成したプログラムの臨床的な有効性を確認することであった。研究参加への同意が得られたダイレクトケアスタッフ(教員、施設職員)の実際の指導場面を撮影し、指導スキルを分析した。指導スキルは、弁別刺激の出し方、強化の仕方、プロンプトの用い方、誤反応の修正の4つの領域の9項目で評定された。その後、約4.5時間のABA基礎知識のレクチャーを行った。レクチャー後に、ABA基礎知識と指導スキルの変化を評定した。その結果、基礎知識は十分に学習されていたが、指導スキルの変化は十分ではないことが示された。参加したダイレクトケアスタッフは、その後、実際の指導場面での指導(On the Job training, OJT)を受け、指導スキルの改善が試みられた。 これらの結果より、以下のような知見が得られた。 1.開発したABA基礎知識テスト(KT-ABA)は、学習の成果をよりよく反映している。 2.開発した訓練プログラムは、ABAの基礎知識を指導する際に効果的であり、全くこれまでABAの学習経験のない者に対しても有効であった。 3.しかしながら、知識の学習だけでは実際の指導スキルの改善は十分ではなかった。 4.したがって、特別支援教育に関わるスタッフの指導においては、知識の学習と指導スキルの指導を実際の場面で行っていかなければならない。 特別支援教育に関わるスタッフのトレーニングでは、従来教員研修で行われている講演や講義などのレクチャー形式の指導だけでなく、実施の指導場面での指導が重要で、今後の教員研修の在り方に反映させていく必要がある。
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