本研究は、グローバル化時代のインフォーマル経済に注目しながら、バリューチェーン(Value Chain)分析を、経済的側面、制度・社会的側面の両方から実証的に検討することが目的である。東南アジア、特にタイをフィールドに、主に労働集約的産業(靴産業)に注目し、生産、流通・販売、消費に到るまでの商品の付加価値の連鎖を分析し、その空間的広がりと階層性・重層性を把握する。同時に各過程で従事する労働者の実態に関しても明らかにすることを目指す。特に商品連鎖の底辺にいる労働者に注目し、バリューチェーンの経済や権力構造、社会的側面の総合的な実証研究を通じて、インフォーマルな職業と貧困が結びつく条件とは何か、そもそもなぜインフォーマルな経済が再生産されているのかに関して検討を行う。具体的には、マクロ分析(全体像の把握)、生産関係の類型別整理、付加価値連鎖の把握、ケーススタディ(零細資本、内職労働者など)によって構成されている。
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