本研究の目的は、グローバル化時代のインフォーマル経済に注目しながら、バリューチェーン分析を、経済的側面、制度・社会的側面の両方から実証的に検討することである。アジアの域内統合の進展は、グローバル資本へ機会を提供したのみならず、零細資本にも国際的展開の契機を与えた。例えば、靴産業を例にとると、第1に、アメリカ、ヨーロッパ市場への輸出の縮小と、近隣アジア諸国、中東への輸出の増大が観察される。第2に、アジア近隣諸国を対象にした零細資本のグローバル化の進展、第3に、フォーマル・インフォーマル経済の関係性の変化と競争の激化の傾向が明らかになった。
|