研究課題/領域番号 |
19540005
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
市村 文男 茨城大学, 理学部, 教授 (00203109)
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研究分担者 |
内藤 浩忠 香川大学, 教育学部, 教授 (00180224)
相羽 明 茨城大学, 理学部, 准教授 (90202457)
高橋 浩樹 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (90291476)
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キーワード | Hilbert-Speiser number field / Stickelberger ideal / 整数環 / 正規整数底 |
研究概要 |
今年度の研究成果のうち、主要な部分を述べる。代数体Fが素数pに対するHilbert-Speiser条件(H_p)を満たすとは、F上の全てのtameなp次巡回拡大が正規整数底を持つことをいう。HilbertとSpeiserにより、有理数体Qはどのpでもこの条件を満たすことが知られている。一方、Greither達により、Q以外の代数体Fは、無限個のpで(H_p)を満たさないことが知られている。その証明にはChebotarevの密度定理を使うため、そのようなpについての具体的な情報は全くない。そこで、Fはどのpで(H_p)を満たすか否かが問題になる。高橋氏(徳島大)との共同研究で11以下のpに対して、(H_p)を満たす虚2次体Fを決定した。p=2、3、5、7、11に対して、そのようなものの個数は、3、4、2、1、0である。これらの類数は1であった。これを踏まえて、あるpで(H_p)を満たす虚2次体の類数は常に1であることを証明した。従って、特に、(H_p)を満たす虚2次体の個数は高々9個である。この結果は、より大きな素数pで(H_p)を満たす虚2次体を決定しようという今後の研究とって大切な部分となる。さらに、一般の代数体Fに対して、(23以上の)素数pで(H_p)を満たすためには、Fとp分体がQ上disjointでなければならないことを証明した。なお、p=3や5では、このようなことは成り立たないことが知られている。 以上の諸結果を導くために、F上のp次巡回拡大達の整数環のlocally free classes全体をとらえるMcCullohの定理と、円分体や円分岩沢理論の古典的な定理・考え方を縦横に用いた。
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