1つ目の項目に関しては、幾つかのカッツ・ムーディ群の単純性が前年度までに確かめられたことを受け、それらの理論的背景を分析しながら、今後の展開を見越した理論整備を行った。この項目の目的は達成された。2つ目の項目に関しては、局所アフィン・リー環の分類は完成された。従って、この項目の目的は達成された。これら2つの研究における考察の応用として、30年来、未解決であった「ムーディ予想」を解決することに成功していたが、その長い証明のプロセスをまとめて発表することができた。3つ目の項目に関しては、準結晶や文字列に対して代数的・組合せ論的アプローチを行い、付随する代数系の研究を進め、その代数系が元の構造を完全にコントロールする仕組みを解明した。この項目の目的は達成された。4つ目の項目に関しては、記号力学系やDNA文字列に関する数値実験を繰り返し、既に得られていた有理性定理を更に深め、自然数、整数、有理数、実数という様な数の階層が、綺麗にオートマトンと対応していることを発見した。これは、この項目の目的を遥かに超えた研究成果である。さらに、この成果を物質科学や生命科学へ広く応用するために、理論整備を行った。全ての項目で目的を達成し、それらの総括を行い、さらに今後の発展も見越した考察も行うことが出来た。これが平成22年度における研究成果である。
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