研究概要 |
d-次元の有限生成R-加群Mを考えたとき,RのイデアルIのMに関するj-重複度の定義としてはj(I,M)=lim__<n→∞>((d-1)!)/(n^<d-1>)length_RH^0_m(I^nM/I^<n+1>M)を採用するのが最も自然であり,柔軟な考察を可能とすることが昨年度の研究で分かった.そこで,本年度はa∈Iを「一般的」にとり,j(I,M)の計算を剰余加群M^^-=M/aMに関するj-重複度j(I,M^^-)の計算に帰着する方法を探った.勿論,aを「一般的」にとれば,aはIの上表元であってさらにMに関するIのminimal reductionの極小生成系の一部となる.その結果,IとMの組についての多くの情報がIとMの組に遺伝し,さらにM^^-に関するIのanlytic spreadはMに関するIのそれよりも小さくなる.本年度の研究では,任意の局所環Rと任意の有限生成R-加群Mに対して,イデアルIに何ら条件を付することなくj-重複度j(I,M)を計算する為の公式を与えた.Mの次元がd>0であれば,Iの中からd-1個の「一般的」な元をとり,それらから定まる何らかのR-加群の長さを測る形で記述することができるのである.
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