本年度は楕円曲線の同種写像から得られるクンマー系列について研究を開始した。五次の同種写像から得られるクンマー拡大のガロア群が正五角形のシンメトリーの群であるような生成的拡大であることを明らかにし、Brumerの多項式と呼ばれる生成族との関係を明らかにすることにも成功した。この結果は陸名雄一(早稲田大学)、佐藤篤(東北大学)との共著論文として、International Journal of Number Theoryから発表される予定である。またこの研究については六月に香港で行われた国際会議FoCM 08で概要を発表した。 楕円曲線の場合に行った考察をアフィン代数群に置き換え、ツイスト付きクンマー系列を構成することによって、二面体群やフロベニウス群をガロア群に持つような拡大体を構成する一般的な原理を発見した。この結果は来年度以降も研究を重ね、具体例の計算も進めたうえで学術雑誌に発表する予定である。この研究については、九月に徳島大学で行われた研究集会「ガロア理論とその周辺」において発表した。また十一月に東北大学で行われた日韓整数論セミナーでも発表した。この発表の概要は、プロシーディングとして印刷されており下記のweb pageからも取得可能である。またもっとも簡単な三次対称群に関する例については論文にまとめ、現在投稿中である。 研究分担者の大野は非特異射影代数多様体の有界導来圏についての研究を行った。
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