本年度はおもに通常のクンマー系列を別の同種写像でひねって得られる「ひねりクンマー系列」の研究を主に行った。 これは前年度に研究を行った楕円曲線の場合に成立した結果を、代数的トーラスの場合に証明したものであり、これによりより多くの種類のメタ巡回拡大の構成が構成することが可能となった。特に低次のフロベニウス群や二面体群をガロア群にもつ拡大体の構成に成功した。ただ大きな具体例の計算は計算機の能力の限界もあって難しく現在よい方法を模索中である。 また、この結果に関しては、現在、論文を作成中であり、作成終了後学術雑誌に投稿予定である。この結果やそれから導かれる小さな具体例の計算については、七月にオーストラリアで行われたPRIMA Congressの計算代数分科会で発表した。また九月には、東北大学代数セミナーでもこの結果に関して講演をおこなった。 この研究の応用として、イデアル類群の鏡映定理の研究を開始した。今年度はこの問題に関する過去の結果の調査、論文の精読を行った。この課題に関しては来年度以降も研究を進める予定である。 研究分担者の大野は引き続き非特異射影代数多様体の有界導来圏についての研究を行った。
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