今年度の目標はネーター正規環R上のcodimension-one A^1-fibrationの構造を明らかにすることであったが、より一般に、Krull環R上のcodimension-one A^1-fibration Aに対して、その構造を解明することに成功した。まず、半忠実平坦(semi-faithfully flat)という概念を導入し、AがR上半忠実平坦な場合、Aの部分環の族{A_r}であって、各A_rは記号的Rees環であるようなものが存在し、Aはその直極限になるということを示した上で、さらにA自身があるΓに対してA_rと一致するための条件を求めた。また、応用として、Aが忠実平坦な場合に得られていた従来の結果が、すべてこの定理の系として導けることも示した。 次いで、codimension-one A^1-fibration Aに対し、Rの高さ1の素イデアル全体の集合を定義域とする非負整数値関数e(power functionと呼ぶ)およびeに付随するフィルター環と名付けるある種の逆極限で得られる環R(e)が存在することを示して、AはeとR(e)の要素bで完全に決定できることを示した。Rが局所環のときは、R(e)はRの完備化と密接に関連する。この事実を利用して、Rが完備ネーター局所環の揚合、AからRへのretractが存在することを示した。また、Rが完備局所環でないときは、Rが体上のアフィン正規環の局所化で得られるような相当条件の良い場合であっても、必ずしもAからRへのretractは存在しないことを実例で示した。 さらに、局所べき零導分との関係も明らかになってきたが、その解明を現在継続中である。
|