研究概要 |
本研究課題の目的は多元環の表現論や可換環論の手法を用いて,非可換代数機何学の重要課題である非可換射影曲面の分類問題に取り組むことである。代数幾何学において低次元多様体を分類する際に交叉理論が重要な役割を果たすが,本研究課題代表者はS.P.Smithとの共同研究で交叉理論を非可換多様体上に拡張した。平成19年度の業績としては,可換環論を用いて交叉理論の対称性に関する結果を得て,論文「Symmetry in the vanishing of Ext over stably symmetric algebras」を発表した。また交叉理論が量子線織曲面上で有効に機能することを証明した論文「Intersection theory over quantum ruled surfaces」を発表した。また学会報告集に論文「Symmetry in the vanishing of Ext-groups」を発表したり,第52回代数学シンポジウムにおいて「Quantum Ruled Surfaces(量子線織曲面)」という題目で講演したりして,それらの結果の公表に勤めた。また多元環の表現論において重要な役割を果たす中山自己同型を非可換射影多様体に応用する研究も行っており,それに関する論文「Co-point modules over Frobenius Koszul algebras」が近々出版される予定である。また量子線織曲面の分類問題に関する論文を現在投稿中であり,中山自己同型を交叉理論に応用する論文の執筆中である。平成19年度より浅芝秀人先生と共同で静岡大学において「静岡代数セミナー」を開催することになり,初年度は2回開催し計6名の講演者(うち外国人2名)を迎えることができた。関西や関東からも研究者が集まり,彼らとの討論を通して本研究課題を遂行する上で新しいアイデアを得る機会となった。またそれとは別に2名(うち外国人1名)が静岡大学を訪れ講演し,また本研究課題に関する意見交換を行った。
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