本研究課題の目的は多元環の表現論や可換環論の手法を用いて、非可換代数幾何学の重要課題である非可換代数曲面の分類問題に取り組むことである。平成20年度の業績としては、非可換代数幾何学の手法を用いて表現論で重要なFrobenius代数を研究した論文「Co-point modules over Frobenius Koszul algebras」と、非可換代数曲面の重要な例である量子線織曲面の分類に関する論文「On the classification of decomposable quantum ruled surfaces」の二本が査読ありの論文として出版された。また可換環論を用いて交叉理論の非対称性に関する結果を得て、論文「Asymmetry of Ext-groups」が近々出版される予定である。この結果はアメリカ・ネブラスカで開催された可換環論の国際学会で発表し高い評価を得た。現在多元環の表現論において重要な役割を果たす三角圏を非可換代数幾何学に応用する研究も行っており、論文「B-construction and C-construction」を執筆中である。この研究結果の一部は中国・上海で開催された学会で発表し、研究結果公表に勤めた。平成19年度に引き続き平成20年度も浅芝秀人先生と共同で静岡大学において「静岡代数セミナー」を2回開催することができた。この研究集会には関西や関東からも研究者が集まり、彼らとの討論を通して本研究課題を遂行する上で新しいアイデアを得る機会となった。
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