平成21年度前半は、高次元の商特異点のクレパントな特異点解消の存在について研究し、夏には、韓国ソガン大学に滞在中であったマイルス・リード氏のもとで開催された代数幾何学セミナーにて、これまでの研究の進展について、口頭発表し、今後の問題点について議論した。 9月からは、アルバロ・ノジャ・デ・セリス氏が日本学術振興会の外国人特別研究員として名古屋大学に来たため、3次元の非可換な群による商特異点のクレパントな特異点解消についての共同研究を始めた。この研究では、私自身が以前用いた3次元トリヘドラル群のクレパントな特異点解消の構成方法と、ノジャ・デ・セリス氏による2次元の2項二面体群の場合のクイバーの表現のモジュライ空間による特異点解消の構成方法を融合させたものを考えた。 この共同研究では、具体例の計算をたくさん行い、より多くの非可換な群の場合の、クレパントな特異点解消の統一的な構成方法について、考察した。 また3月初めには、3次元のクレパントな特異点解消の世界的な専門家であるマイルス・リード氏、石井亮氏、マイケル・ウイムス氏、ティモシー・ログビネンコ氏を名古屋に招き、研究集会Seminar on McKay correspondenceを1週間開催した。ここでは私の共同研究の途中経過を発表するとともに、互いの最先端の研究技術に関する情報交換や議論を行い、かなり有意義な時間が持てた。
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