平成22年度には、主にAlvaro Nolla de Celis氏との共同研究で、非可換な群による2次元の商特異点の特異点解消を、可換な部分群による商の特異点解消から作られるモジュライ空間として構成し、その性質を調べた。8月にイギリス・ウォーリック大学での国際的な研究集会を組織、開催し、そこで、上の共同研究についての成果発表を行った。そこでは、日本人だけでなく、世界中のマッカイ対応やクレパントな特異点解消に関する研究者と交流することができ、彼らの研究成果を知るだけでなく、個人的な議論をすることで、有益な情報が収集できた。 また、6月に静岡大学の毛利出氏による非可換代数幾何学の講義を聴き、興味をもっていたところ、7月に代表者が静岡大学に招待され、マッカイ対応について講演することを依頼された。そこで、互いの研究を融合させた非可換版マッカイ対応について考え始め、研究を進めた。その互いの研究成果を報告しあい、今現在わかっていることやこれからの課題などの情報交換の場として、2011年3月末に、非可換代数幾何学とマッカイ対応についてのワークショップを名古屋大学にて開催した。このワークショップには、海外からも研究者を招いて、有意義なものであった。 またこれ以外に、日本数学会からの依頼で、対称性に関する講演をした。そこでは群を幾何学的に記述するなど、これまでの商特異点の研究成果を生かすことができた。
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