量子重力を含む物理理論の候補としての超弦理論には不思議な双対現象があることが知られている。これを定量的に理解するためには内部空間のCalabi-Yau多様体の数え上げ幾何と我々の住む時空での物理状態の数え上げとを関連付ける必要がある。本研究は特に楕円Calabi-Yau多様体の場合に楕円コホモロジーの概念を手助けにこの作業を遂行しようと努力したものである。特に関係する生成関数に関してBorcherds積とのアナロジーを追求しながら具体的かつ組織的に構成してその性質を調べた。この成果は当研究者としては大いに満足すべきもので、これを論文としてまとめる作業に取り掛かったのであるが、予想以上に手間がかかり、不本意ながら期間内に完成するまでには至らなかった。しかし、周辺話題や主題に利用する技術的な結果は公表することができた。
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