研究課題
1.本研究の目的は、保型形式のフーリエ成分の数論的性質を表現論的手法を使って調べることである。数論的に深い情報を取り出すには、局所理論が肝要となる。特に、調べるべき保型形式の生成する表現に付随する一般化/通常Whittaker模型の分岐理論が、重要な役割を担う。然るに、分岐したWhittaker関数の研究は、不分岐な場合に比して立ち遅れている。そこで、比較的小さい群U(3),GSp(4)の場合に、以下の(A)(B)が本年度の研究計画であった。(A)各分岐表現に付随するWhittaker関数の明示公式の研究(B)局所ゼータ積分による分岐L-因子の研究2.準分裂U(3)のSteinberg表現の場合には、明示公式及びそのゼータ積分による標準L-関数の分岐因子は、筆者により得られていた。(A)については、Steinberg表現の場合に通用した手法が、他の表現にも通用する条件が解った。(B)については、井草局所ゼータに関連付ける手法を、doubling積分から我々の局所ゼータ積分の場合へ拡張することを試みた。これらについて、9月北海道大学1月岡山大学に於いて、現行方法の問題点について近隣分野の研究者と討議した。3.森山は、GSp(4;R)の場合に一般化Whittaker関数が通常のものの積分変換で得られることを観察した。高野は、p-進簡約型対称空間の表現の分類について部分表現定理と相対的尖点表現の構成を行った。若槻は、Sp(4)上の正則カスプ形式に対しHecke作用素の跡公式を与えた。また安田は、GL(n)上のカスプ形式のtorus周期がn-1個の保型L-関数の積で書けることを示した。吉野は、Carabi-Yau三角圏に於るAuslander-Reiten理論の高次元化をほぼ完成させた。
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