研究概要 |
1.本研究の目的は、保型形式のフーリエ成分の数論的性質を表現論的手法を使って調べることである。数論的に深い情報を取り出すには、局所理論が肝要となる。特に、調べるべき保型形式の生成する表現に付随する一般化/通常Whittaker模型の分岐理論が、重要な役割を担う。そこで、比較的小さい群U(3),GSp(4)の場合に、以下の(A)(B)が本年度の研究計画であった。 (A)各分岐表現に付随する一般化Whittaker関数の研究 (B)表現の分岐度合と"解析的導手"の関係の解明 2.(A)については、準分裂U(3)のSteinberg表現の場合に、Whittaker関数の明示公式 及びそのゼータ積分による標準L-関数の分岐因子は得られたが、Fourier-Jacobi関数については研究が停滞している。1月のRIMS集会にTechnion大のBaruch氏を招聘し、Kirillov関数を用いる利点と見込まれる結果について示唆を受けた。(B)については、当初の方針を変更し、分岐度合を測るコンパクト群(の候補)からのアプローチを試みた.これに関して、安田の主催する1月の研究集会に於いて、知られている場合の分析と有り得る拡張を報告した。新しい方針に沿う"解析的導手"については、明示研究の方針がたち簡易な場合に試行している。来る8月には、これに関するWork Shopを開催し、本課題共同研究者を含む国内の専門家と研究討議を重ねる予定である。 3.森山は、G3p(4;R)の場合に"new vector"の存在が期待できない積分の存在を観察した。高野は、p-進簡約型対称空間の表現の分類について、部分表現定理と相対的尖点表現の構成を行った。 また安田は、Whittaker模型の一意性の拡張に取り組み、一定の結果を得ている。
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