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2008 年度 実績報告書

レゾルベント型跡公式の一般化と保型形式の整数論

研究課題

研究課題/領域番号 19540039
研究機関九州大学

研究代表者

権 寧魯  九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (30302508)

キーワード実二次体 / ヒルベルトモジュラー群 / セルバーグ跡公式 / セルバーグ型ゼータ関数
研究概要

今年度は、ヒルベルトモジュラー曲面に対するセルバーグ跡公式についてセルバーグ型ゼータ関数への応用を念頭において研究した。具体的には、Kタイプが自明であるエフラットの跡公式をKタイプが非自明な場合に拡張し、"重さ"が異なる二つの跡公式の両辺を比較することによって、スペクトル辺から特別な表現の系列を抽出した“跡公式の差分"を得ることが出来た。得られた跡公式の差分を用いてセルバーグ型ゼータ関数を構成し、全平面への有理型解析接続や関数等式を証明した。一般に群の階数が高いとき跡公式は大変複雑な形をしているが、今回得られた方法で跡公式のある種の簡易化が得られることがわかり、そういった点でも興味深いと言える。
今回得られた結果についてより詳しく説明する。Kを類数1の実二次体とするとき、その整数環の元を成分にもつ次数2の特殊線形群であるヒルベルトモジュラー群を考える。この群は上半平面二つの直積に不連続に作用し、カスプをただ1点もつ既約な離散部分群になる。先ず、エフラットの跡公式をKタイプが非自明な場合に拡張し、次に、マース作用素で移りあう"重さ"の組に対して、セルバーグ跡公式の両辺を比較することによって、特定の離散系列表現と主系列表現のテンソル積になっているような表現の系列をスペクトル辺にもつ"セルバーグ跡公式の差分"を得ることが出来た。得られた跡公式を用いて、上記表現の系列に相当するラプラシアンの組のスペクトルについての情報を与えるセルバーグ型ゼータ関数を構成し、解析接続を証明した。さらに、幾何学的辺に現れる各局所項を詳細に調べることによって、構成したセルバーグ型ゼータ関数の関数等式を得ることが出来た。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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