研究概要 |
年明けに出版されたArhusのAndersenとの共著論文について報告する。これは,正標数の半単純代数群と複素数体上の1の冪根の量子群のtilting加群のLoewy構造を調べたものである。 正標数の半単純代数群の表現論の主要な研究対象として,既約表現,Weyl加群,tilting加群がある。この内,Weyl加群の指標はWeylの指標公式で与えられ,既約指標も標数が非常に大きいときは最近になって分かるようになったが,tilting加群についてはその予想式さえ知られていない。一方,複素数体上の1の冪根の量子群については,tilting加群の指標が分かっている。当論文では,先ずこの量子群上,regular highest weightを持つ直既約projective tilting加群はrigidであることを証明した。則ちそのsocle seriesとradical seriesは一致する。一方,projectiveではないtilting加群についてはrigidでない場合があることも示した。更に,多くのWeyl加群がrigidであることを得たが,そうでない場合があることも例示した。量子群がA_2型或いはB 2型のときには,regular highest weightを持つWeyl群のLoewy構造を具体的に決定した。次いで,正標数の半単純代数群においても,highest weightがJantzen regionにある場合には,量子群のときと同様なことが成立することを得る一方,highest weightがJantzen regionを逸脱する場合にはrigidでないtilting加群が生ずることも示した。
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