本研究の目的は、符号理論からの成果を応用して、ある種の頂点作用素代数の分類を与えることである。その分類結果を通して、ムーンシャイン頂点作用素代数の位置付けを明らかにできると期待している。本研究の出発点として、長さ48までの立方重偶符号の分類を完成させる必要がある。ここでいう立方重偶符号とは、二元体上で定義された線形符号であって、すべての符号語のハミング重みが8の倍数となるものである。 研究課題初年度である平成19年度に直接的なアプローチでの立方重符号についての研究を進めてきた。その成果として、極大次元と既約成分の個数について、顕著な関連性を観測することに成功した。加えて、すべての極大な立方重偶性を持つ符号が、長さ24の重偶自己双対符号から構成できるとの予想を得た。長さ24の重偶自己双対符号については、古典的な分類結果が知られているため、本予想が正しいことが確認できれば、直ちに長さ48の極大な立方重偶符号の分類が完成する。 本年度の成果として、本予想を計算機で確認するためには、大量の数式処理計算を行う必要があることが研究を進める中で明かになった。そのため、計算機環境を強化、整備することとした。具体的には、複数ある既存の計算機で確認作業の計算を進められるように数式処理ソフトのライセンスを追加購入し、より多くの数式処理が行える環境を整えた。同時に、数式処理には大量のメモリが必要となるため、計算機用のメモリを追加購入し、大きな計算に対応できるようにした。
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