研究概要 |
以下s=σ+itを複素変数,z=x+iyを複素上半平面のパラメタとすとき,正定値二次形式|u+vz|^2に付随するEpsteinゼータ関数ζZ^2を,ζZ^2(S;z)=Σ^∽_m,n=-∽|m+nz|^-2s(以下,和Σ^1においては||=0となる項を除く)及びその全s平面の有理型関数への接続として定義する.さらに,偶数k〓0に対して,SLR_2(Z)に付随する(重さkの)非正則Eisenstein級数E_k(s;z)がE_k(s;z)=(1/2)y^sΣ_(c,d)=1(cz+d)^-k|cz+d|^-2s(Res>1)及びその全s平面の有理型関数への接続として定義される.いまζ(S)でRiemannゼータ関数を表すとき,計画調書に記したとおり,k=0の場合に成立する関係式E_o(s;z)=y^sζz^2(s;z)/2ζ(2s)によって,研究代表者が以前導いたζZ^2(s;z)のy=Imz→+∽における漸近展開からE_o(S;z)の漸近展開への直接的な移行が可能となる.今年度の研究では,ここで得られたE_o(s;z)の漸近展開にMaassの重み変更作用素を逐次作用することで,E_k(s;z)のy→+∽における完全漸近展開の導出に成功した.この展開からは,E_k(s;z)のFourier級数展開や種々の特殊値の閉じた形の明示公式,また(準)正則Eisenstein級数のq-seriesによる展開,さらにはE_k(s;z)が重みkのnon-Euclidian Laplacianの固有関数になることの直接的証明など,数多くの新たな知見が得られた.結果は論文"Differential actions on the asymptotic expansionsof non-holomorphic Eisenstein series"として纏められ,現在欧文学術雑誌に投稿中である.
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