ゴレンスタイン環の強いレフシェッツ条件に関する問題は、代数学の根幹にかかわる興味深い問題である.多くの研究会に出席し、多くの研究者達と情報を交換した結果、われわれの最終目標の一つである、 「完全交叉環は強いレフシェッツ条件をもつであろう」という予想の解決のための方法が、次第に明らかになりっつある. 手順1.19世紀後半に書かれた、Hessianに関するPaul GordanとMax Noetherによる論文を現代的視点にたって解読する. 手順2.整数係数の完全交叉環は、ケーラー多様体のコホモロジー環として現れることを証明する. 手順3.完全交叉環の強いレフシェッツ性は、deformationで保存されることを証明する. 上記の手順で、解決できる見通しができたことが最大の成果である.手順1に関しては、京都大の前野俊昭氏との共著の論文を書き終え、専門誌に投稿している.
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