ヘシアンが消滅する多項式は、5変数の場合は完全に決定できる。それはある特殊な形の連立線型微分方程式の解として得られる。その微分方程式そのものを高次元に拡張すると、定数係数の連立1次偏微分方程式がえられ、その解は、多項式環の部分環である。これを拡張する方向で、研究が進展した。連立1次方程式の係数を、代数的独立元として扱うとその解集合として、一般的行列(ジェネリック行列)のマイナーによって生成される部分環が登場する。これを厳密に証明しようとするとASLの理論が非常に有効に応用できる。また、この微分方程式は、特性曲線が直線であることと同値であることが同僚の赤松教授によって示された。 さて、同次数斉次方程式の代数的関係と、それらが生成する加群のシジジーは実は密接に関連している。従って、代数的な次元と、加群としてのホモロジー代数的次元の間には、関連のあることがわかる。 これは、赤松豊博氏との共著の論文で明らかにするように準備を進めている。永田雅宜によって導入されたイデアル化の原理をレベル環とその標準加群に適用すると、SLPを持たない0次元ゴレンスタイン環が得られる。その時の、ヒルベルト関数、ディルワース数、一般元のジョルダン標準形は、元のレベル環の様子から決定される。また、有限体の上の有限次ベクトル空間内の全てのベクトル空間が作るラティスのシュペルナ性をアルティン環として扱うことに成功した。
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