研究概要 |
今年度の最大の成果は,慶尚大(韓国)Seon Jeong Kim教授との共同研究により,「q元体上の特異点の無い平面代位数曲線でq元体上の射影平面を含むものはあるだろうか?あるとすればその最低次数はいくつだろうか?」という問題を扱い,これに十分満足のいく結果を与えたことである.その解は以下の通り: 最低次数はq+2であり,そのときq元体上の射影平面を含む曲線の方程式は,射影平面の座標をX,Y,Zとし,U=X^qY-XY^q,V=Y^qZ-YZ^q,W=Z^qX-ZX^qと置くとq元体係数の(3,3)行列Aを用いて(X,Y,Z)A^t(U,V,W)=0と書ける.しかもこの曲線が特異点を持たない為の必要十分条件はAの固有多項式がq元体上既約であること. 50年ほど前,G. Talliniがq元体上の射影平面を含む既約代数曲線について,その最低次数を求めそれらを詳しく調べているが,われわれの結果と合わせれば,次数q+2のq元体上の射影平面を含む曲線については,既約であることと特異点を持たないことが同値ということになる.さらにTalliniはこれらの曲線の自己同型群についても調べているが,われわれも上の標準形を用いて調べた結果それは大雑把に言えば行列Aの中心によって規定されることも分かった.
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