研究課題
乗数イデアルの可換環論的性質に関連して、今年度はまず1)単項式イデアルの乗数イデアルの組合せ論的および可換環論的性質2)乗数イデアルのシチジーの構造 の問題に注目し、square free な単項式イデアルで、その幕の局所コホモロジーが有限生成加群であり、しかもそのシチジーが線形分解を持つようなものを決定した。具体的には、そのようなsquare freeな単項式イデアルが表現する単体的複体を分類した。この研究成果については、奥平崇貴との共著論文としてArchiv der Mathematik(Basel)に投稿し、採録決定されている。また、標数p手法との関連において、特に乗数イデアルの正標数類似とも深い関連をもつ、局所コホモロジーの零部分加群の密着閉包を詳しく調べるという観点から、小平消滅定理の正標数での反例であるM.Raynaudの偏極曲面の構成法やD.MumfordやI.Szpiroによる一般化などを詳細に検討した。研究を進めるにあたっては、日本大学文理学部で渡辺敬一氏を中心に行われている特異点理論月曜セミナーや、可換環論シンポジウムに参加し最新の情報収集を精力的に進めた。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Archive der Mathematik (Basel) 採録決定 Volume 90,Number 5
ページ: 385-394