研究代表者は研究目的にあげた項目のうち、「微分式系の包合性の理解、手法の修得」「微分方程式の幾何学的理論に関して外微分形式系の研究」に主眼を置いて研究を遂行した。具体的な研究内容は外微分形式系とG構造に関する包合性の理解と手法の修得であった。特に包合的な描板のスペンサーコホモロジーが自明になること、および描板の延長が線形微分方程式の積分要素の空間として捕らえられ、描板の形式的な包合性の定義が、一般の微分形式系における包合性の定義に一致いていることを確認した。また、2n+1次元の接触多様体上にラグランジュ括弧に関して可換なn+1個の独立な関数があったとき、それらにn個の関数を付げ加えて接触変換を作ることができるが、これを2ベクトルを用いた見通しのよい証明があることを示した。また、微分一形式の標準形に関するダルブーの定理についてコーシー特性系が有効に利用されることを学んだ。そのほか、G構造の構造関数、延長、幾何学への応用、および、線形外微分形式系の包合性、特性多様体に関して知見を深めた。連携研究者福井はミンコフスキー空間の曲線に対するフレネ・セレめ公式を考察した。また、ミンコフスキー時空の中に実現される双曲空間やドジッター空間を尊重して、フレネ・セレの公式を考察することも試みた。その結果、曲線の位置ベクトルのk階までの微分の作る平行多面体の体積を使って、曲率等の情報を明示的に表示する公式を得た。さらに、曲面の漸近方向、主方向の概念の一般化したものとそれらが満たすべき微分方程式を明示的に表すことについて結果を得た。
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