研究概要 |
前年度までの研究において、ザイフェルトホモロジー球面について、A型単純リー環に付随する摂動的量子不変量を計算することにより、次数6までのLMO不変量の明確な公式を与えたが、次数が7以上については、A型では得られないことがわかった。前年度に得られたA型の場合の摂動的量子不変量の計算の手法で、B型に付随する摂動的量子不変量の計算を実行し次数7, 8のザイフェルトホモロジー球面に対するLMO不変量の公式を得た。更に、Garoufalidis, Marinoによる有理ホモロジー球面の摂動的量子不変量がmatrix integralとしてかけるという予想について、GaroufalidisらのA型についての証明手法をB型に適用するやり方で、正しいことを示唆するいくつかの結果をえた。(A, C, D型の場合はすでに証明されている) 有理ホモロジー球面の場合、摂動的量子不変量の対数をとったものは、free energyと呼ばれる。A型の場合Garoufalidis, Le, Marinoらによって、有理ホモロジー球面のfree energyの解析的性質が調べられ、特にレンズ空間については、free energyの明確な公式があたえられた。それは多重対数関数、指数関数、ゼータ関数によってあらわされる。B, C, D型についても有理ホモロジー球面のfree energyは解析的性質をもつことが予想されている。本研究において、レンズ空間について、B, C, D型に対するfree energyの明確な公式をえた。それは、多重対数関数、指数関数、ゼータ関数によってあらわされ、A型の場合と同様の解析的性質を持つことがわかった。
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