結び目と3次元多様体の不変量について研究をおこなった。 筆者はfirst Betti数が1の3次元多様体の量子不変量の摂動展開を計算し、これを摂動的不変量として定式化した。さらに、この摂動的不変量を導出するようなLMO不変量(普遍摂動的不変量)のrefinementをこのクラスの3次元多様体にたいして構成した。従来の定義によるLMO不変量はfirst Betti数が大きくなるにつれて急激に弱くなることが知られているが、本研究で筆者が構成したLMO不変量のrefinementはこのクラスの3次元多様体にたいしても非常に強力な不変量である。とくに、このrefinementの2ループの部分から「2ループ多項式」という2変数多項式不変量を定式化することができ、これはCasson-Walker-Lescop不変量のrefinementになっている。これらの研究成果について、筆者は、2007年6月に北京の国際会議で基調講演をし、2007年12月に京都の国際会議で基調講演をした。 筆者は、本研究の研究分担者の葉廣和夫氏と共同で低次元トポロジーセミナーを開催した。今年度の講演者は、渡辺忠之氏、石井敦氏、Ybav Rieck氏であった。これらのセミナーは申請者や研究分担者との共同研究をすすめるにあたって、また、大学院生等の若手研究者との研究交流の面からも、大変有益であった。
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