結び目と3次元多様体の不変量について研究をおこなった。 筆者はfirst Betti数が1の3次元多様体の量子不変量の摂動展開を計算し、これを摂動的不変量として定式化した。さらに、この摂動的不変量を導出するようなLMO不変量(普遍摂動的不変量)のrefinementをこのクラスの3次元多様体にたいして構成した。従来の定義によるLMO不変量はfirst Betti数が大きくなるにつれて急激に弱くなることが知られているが、本研究で筆者が構成したLMO不変量のrefinementはこのクラスの3次元多様体にたいしても非常に強力な不変量である。これらの研究成果について、筆者は論文を執筆した。また、これらの研究成果について、筆者は、2008年4月にデンマークの国際研究集会で招待講演をし、2008年8月にトポロジーシンポジウム(金沢)で招待講演をした。 また、これらの研究成果と関連して、筆者は3次元多様体の不変量について著書(共著、「幾何学百科」第2巻 第4章、朝倉書店)の執筆をはじめた(2010年刊行予定)。 筆者は、本研究の連携研究者の葉廣和夫氏と共同で低次元トポロジーセミナーを開催した。今年度の講演者は、John Morgan氏、Gwenael Massuyeau氏、Jean-Baptiste Meilhan氏であった。これらのセミナーは申請者や連携研究者との共同研究をすすめるにあたって、また、大学院生等の若手研究者との研究交流の面からも、大変有益であった。
|