研究概要 |
Gをコンパクト連結Lie群で基本群が自由なものとし、R(G)をG複素表現環とする。Gのそれ自身への随伴作用adによりGをG-空間と見なし、これをG_<ad>で表わす。このG-空間についての複素G-同変Kコホモロジ-K^*_G(G_<ad>)を考える。昨年度の研究において、既知の同型K^*_G(G_<ad>〓K^*_T(T_<ad>^W〓∧R(G)(q1, …, ql), (l=rank(G)))について、表現論的な手法を用いた自然な別証明を与えた。ここでTはGの極大トーラス、WはGのTに関するweyl群である。さらにこの別証明において用いた手法を利用することにより、rank(G)が小さい場合について、K^*_G(G_<ad>)上のAdams作用素の計算をいくつか部分的に行っていた。 今年度はまずこの計算の結果を踏まえて、K^*_G(G_<ad>)上のAdams作用素ψ^kを完全に決定するための方法を以下のようにまとめた。 1.ψ^kの性質を考えると各iについてψ^k(qi)をq1,q2,……qlのR(G)上の1次結合で表せば十分である。そのqjの係数c_<i.j>∈R(G)を計算するためにはψ^k(qi)П_<t≠j>qtを計算すればよい。(この元はC_<i,j>П_t qtと表される。)2.同型K^*_G(G_<ad>)〓K^*_T(T_<ad>)^Wによってqiに対応する元をq'iとする。昨年度の研究によってП_t qtに対応する元П_t q'tは既知である。そしてψ^k(q'i) П_<t≠j> q't=c'_<i,j> П-t q'tであるとすると、c'_<i.j>は同型R(G)〓R(T)^Wによってc_<i.j>∈R(G)に対応するR(T)^Wの元となる。3.よってψ^k(q'i)П_<t≠j>q'tを計算することによってc'_<i,j>∈R(T)^Wを計算し、対応するR(G)の元を求めることによりc_<i.j>を求めることができる。 計算機の助けも借りてこの方法を実行することにより、rank(G)が低い場合のいくつかのGについてK^*_G(G_<ad>)上のAdams作用素を完全に決定することができた。現在この結果を取りまとめるとともに、さらに一般のGについてどのような関係式が生ずるかについての研究を継続中である。
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